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医療機器リコールあれこれ ~ これでも回収ですか? | MeKiKi

 医療機器の改修/回収情報には、そんな些細なことでも回収するのかという物がときどきあります。

 普段から見ている人にとってはアルアルネタみたいになりますが、少し事例を紹介したいと思います。




誤字・脱字による回収・改修

 医療機器の効果・効能や性能、品質には一切関与しない部分だと思います。


 上図はクラスⅢ回収の一例です。

 回収理由を拡大してみると下記のように書かれています。

当該製品の外箱に貼付されている日本語の法定表示ラベルの記載事項に誤りがあることを確認しました。本来、「医療機器製造販売届出番号 / 一般医療機器」と記載すべき箇所を、医療機器承認番号 / 管理医療機器」と記載して製品を出荷していました。

 『外箱』に書かれていた『日本語』の『ラベル』に誤りがあったとのことです。

 このラベルは法定で表示義務があるものなので、一応、法令違反した商品が流通してしまったという位置づけになります。

 この製品が医療機器として成立する過程においては重要である『承認品』なのか『届出品』なのかというあたりの表示が間違えていたということでした。

 承認と届出のコピペを間違えたのかなと思わせる内容で、そのあとにつづく『管理医療機器』と『一般医療機器』の違いを見ると、ますますそう思えてきます。
 一般医療機器とはクラスⅠの医療機器で、届出で済みます。
 管理医療機器とはクラスⅡの機器で認証品と承認品が混在しますが、多くが認証品です。
 高度管理医療機器になるとクラスⅢまたはクラスⅣになるのでほとんどが承認品です。

【参考】手術用クランプ被覆・保護材の例(2022年12月20日)

【参考】整形外科用洗浄器(2022年9月9日)




印刷ミスによる回収・改修

 この事例は、添付文書を新旧間違えて同封したというものです。

納入施設において、当該製品ティシュー・テックパラフィン伸展器の添付文書が最新版でない事が発見されました。原因の調査により添付文書の版を確認せずに旧版を印刷し、装置に梱包したことが判明いたしました。正しい添付文書である最新版の添付文書へ交換する自主改修を実施いたします。

 回収ではなく改修、おそらく装置自体は何も触らずに新しい添付文書を交換するだけなので改修と呼ぶのにふさわしいのかもよくわかりませんが、そういうことです。

納入施設において、当該製品ティシュー・テックパラフィン伸展器の添付文書が最新版でない事が発見されました。原因の調査により添付文書の版を確認せずに旧版を印刷し、装置に梱包したことが判明いたしました。正しい添付文書である最新版の添付文書へ交換する自主改修を実施いたします。

 実際に、この改修の『8.その他』には『各納入先において添付文書を交換後に改修確認文書に担当者様のサインを頂き、改修対象先リストと照合し、対象製品の全数について改修終了を確認します。』と方針が掲げられており、添付文書の交換だけ行う旨が宣言されています。

【参考】検体前処理装置(2022年9月9日)




電子化していれば防げた改修

 業界の人にとっては公知の事実とでも申しましょうか、添付文書は電子化され、紙媒体の配布は廃止可能となりました。


 前述の例では『旧版を印刷し、装置に梱包』と書いてありましたので、これを梱包しなければ改修にはならなかったと思います。

 おそらく外箱にはJANコードが記載されたラベルが貼ってあったと思いますので、それが間違えていなければ、あとはユーザー側が勝手にダウンロードして閲覧するので、添付文書の印刷ミスというものは、医療機器メーカー側にはなくなるはずです。

医療機器JANコードを入力




類似案件でもクラスⅡ回収

 この事案は、法定報じラベルと添付文書を間違えました、という案件です。


 これまでご紹介した案件は『クラスⅢ』の改修/回収でしたが、この事例では『クラスⅡ』の回収が実施されています。

 機器の外側のラベルや添付文書の問題なので、機器そのものには影響がないのでクラスⅢの回収でも良いのではないかと思いますが、ワンランク重いクラスⅡとしています。


 ちなみに、出荷時期は2021年12月なので、添付文書は電子化が施行された後です。ラベル間違いがあるのでもしかすると電子化された添付文書に到達できないかもしれませんが、少なくとも同梱する添付文書を誤ることは発生しないので、電子化を実施していれば回収理由は『異なる製品の法定表示ラベルを貼付した』で済んだかもしれません。

【参考】人工内耳(2022年1月31日)




回収情報の誤記はミスか悪意か

 医療機器の回収/改修情報には必ず一般的名称が記載されます。

 何を差し置いても一番はじめ、冒頭に記載されるのが一般的名称ですが、これが薬機法のリストどおりではない機器がときどきあります。

 偶発的なミスであれば仕方ないのですが、毎回、同じミスを繰り返し、一度も適切に記載された物を見たことがない名称もあります。

 下記の3つの事例は、それぞれ発表した企業が異なりますが、いずれもローマ数字の部分が『II』や『III』のようにアルファベットのアイを数本並べて掲載しています。

【参考】単回使用クラスⅢ処置キット(2022年12月16日)

【参考】単回使用クラスⅡ処置キット(2022年1月21日)

【参考】単回使用クラスⅢ処置キット(2021年6月7日)

 しかしながらPMDAのウェブサイトに在るクラス分類表では、この数字部分は『Ⅱ』や『Ⅲ』になっているので、人間の目で見ると同じですが、コンピューターは違う文字として認識します。

 これを悪意とは捉えるべきでないかもしれませんが、正しく『クラスⅢ』と登録した企業はネット検索で引っ掛かり、『クラスIII』と表記すればネット検索でヒットしないとなると、名誉なことではない回収/改修情報で名を挙げられずに済んでしまうかもしれません。


 先日『植え込み能動型機器用プログラマ』と書かれた回収情報がありましたが、正しくは『植込み能動型機器管理用プログラム』が一般的名称です。


 この、些細なことがDX時代には阻害要因ともなり得るので、できればコード(番号)の併記もお願いしたいです。

【参考】PMDA:医療機器の一般的名称