国民の健康を損なわないために、医療関連の広告宣伝には規制があります。
プラズマクラスター
テレビCMで『♪プラズマクラスターはシャープだけ』という言葉を耳にしたことがないでしょうか。
商品カタログではアンパンマンとバイキンマン、カビルンルンが出て来て闘っているイメージがありますが、菌を殺すなどと一言も触れていません。
あくまで『空気清浄機』であって、殺菌器や滅菌機ではありません。効果・効能を謳う商品ではありません。
プラズマクラスターはシャープさんの製品です。本拠地はもともと大阪です。
大阪にはパナソニックやダイキンなど空気清浄機の有名メーカーがいくつもあり、その広告物は大阪府薬務課がチェックしています。
残しておけばよかったと今さら思い出しますが、ここ20年で空気清浄機のカタログが次々と変化しています。
昔は『そこまで言って良いの?』というものもありましたが、いまは無難な感じに収まっています。
コピーライター
広告物を制作する際に外部の広告代理店やデザイナー、コピーライターに依頼する場合があると思います。
ここで注意しなければならないのが、委託先が医療に詳しいかどうかです。
高いカネを払っているから大丈夫とおっしゃったある企業さんが作った10ページの資料、大阪府薬務課に持ち込んだら『全部のページが使えません』ということがありました。
最近は性的マイノリティや出自、地域や何やらで色々と気を使えるコピーライターでないと広告物の全数回収ということもあるので、才能があるかどうかの前に、表現のボーダーラインを知っているかどうかは重要になります。
自主規制(LINE)
ただちに法律違反でなくても、掲載する場所によっては管理者から警告を受けたり、追放されたりします。
『よくあるNG例』として、下記のようなことが書かれています。
医療機器として承認(認証)を受けていないものは、医療機器ではありません。これは法律で医療機器が定義されている以上、自らが医療機器だと思っていても、承認(認証)を受けていなければ医療機器になりません。
医療機器でなければ効果・効能などを謳うことはできません。
【参考】LINE for Business: LINE広告 雑貨類の審査注意点~補正下着編~
逆に言えば、医療機器の認証を取得していれば堂々と『リンパ浮腫』『四肢の静脈血』などをホームページに書き込むことができます。
下図の例は補正下着ではなく靴下の一種ですが、医療機器なので堂々としています。
NG例として『リンパ』などを記載しないようにLINEではアナウンスしています。
医療とは関係ありませんが、性的表現もLINEの広告規制に引っ掛かる場合があります。
当局に確認
医療機器として広告宣伝するときには、当然ながら県の薬務課に相談すると思います。
医療機器ではないが、医療機器っぽいモノを扱う時も、必要に応じて相談すると良いです。
筆者も相談経験は何度もあります。
『この文言は、この意味で使いたいのですが』と相談すると『国民がコッチの意味で受け取った時、誤解して期待してしまう可能性がある』とご指導いただくこともありました。
最近のコロナ検査試薬でもそうですが『陰性だから病気でない』と誤解してしまい多くの人を感染させる恐れがあるから、未承認(認証)品は使わないで欲しいというのが薬機法の考え方です。
『用法・用量を正しく守って』という言葉はこうした部分に掛かります。偽陰性の確率は1割くらいはあるので過信しないようにという注意が医療機器であれば示されていると思います。
研究用は、規制を受けていないので文言も記載なし、ということで危険であって、医療機器と研究用機器に性能の差があるとは厚労省は一言も言っていません。
初心者はコンサル要請
よくわからない人は、コンサルを要請した方が安く済むかもしれません。
コンサル料は何十万円かかかりますが、印刷物やウェブサイトを無駄にしてしまったり、営業活動ができない期間が生じてしまうことがありません。
深刻な場合、テレビや新聞に掲載されて、悪いイメージが定着してしまい取り返しがつかないという事態にもなります。
『騙してやろう』という悪意がなくても、結果として騙されたと思う国民が居ては意味がないので、転ばぬ先の杖としてコンサルさんを要請すると良いです。
おわりに
憲法の『健康で文化的な最低限度の生活』に始まり、医療法や薬機法など国民の健康を守るための法律がいくつもあります。
広告規制については厚生労働省が所管する部分だけでなく、消費者庁からのクレームも入ります。
悪意がなくてもお咎めを受けますので、注意が必要です。
通販プラットフォームは注意どころか、いきなり出品停止や退去処分(除名)を受けることもあります。弁明や釈明の機会を与えてもらえない場合もあるようですので、運営側とはコミュニケーションを取りながら進めると良いと思います。
困った時は、深みにはまる前に専門家やコンサルタントを要請すると良いと思います。